ブランディングで売上30億円

リフォーム産業新聞 2018/06/12号より

 

サンプロ 青柳弘昭 社長

サンプロ 青柳弘昭 社長

地方都市で人が集まる会社を実現

「これからリフォーム業に必要なものはブランディング」。こう話すのは、リフォームや注文住宅を手掛けるサンプロ(長野県塩尻市)の青柳弘昭社長だ。同社では約1年前にネットワーク、LOCAS(ロカス)を立ち上げ、1996年創業以来培ってきた経営ノウハウを地元ビルダーと共有している。地方都市で売上高30億円体制を構築したブランディングの必要性を聞いた。

30人で会議開催

――LOCASを立ち上げて1年経ちました。どのような状況でしょう。

 現在30人ほどが集まり、ブランディングやマーケティングを学ぶLOCAS会議を開催しています。具体的には会員企業のブランディングをテーマに意見交換したり、最新のマーケティング情報をシェアしたりしています。ビルダーに必要なデザイン研修も行いますし、会員限定のSNSを設け、会議以外の場でも話し合える機会を提供しています。またマネジメント強化のため、離職率の低い弊社の人材育成を仕組み化した資料の提供も行っています。

 ブランディングで組織をより強化することに興味がある会社が多く、中でも新築業者が多い。LOCASの会員になるためには入会金30万円、月々1万5000円が必要ですが、その価値は十分です。

――そもそも、なぜブランディングが必要なのでしょうか。

 リフォーム業だけをやっていた私は、創業した13年前からブランドビルダーになる目標を掲げていました。当時はリフォームや工務店というと、下に見られることが多かったからです。イメージの良い会社には優秀な人材が集まり、それが社格の上昇につながり、エンドユーザーへの認知につながる。

 会社や名刺のロゴなど、外側の見た目を変えることも重要ですが、同時に会社の方針に則ったサービスや従業員の対応、社員の意識など内側を変えることもブランディングです。たとえば弊社はウェブサイトを見栄え良く一新しました。社員が、家族や友人にスマホで自社のウェブサイトを見せながら「自分の会社は生き生きとこんなすごい仕事をやっている」と自慢できたらいいじゃないですか。

 こうした活動を始めて離職率は激減しました。私は、ブランディングが業界全体の格上げに十分貢献できると考えています。

――ブランディングによって、どのように事業が変わるのでしょうか。

 都会と比べ、地方は人口が少なく業者やエンドユーザーも少ないため、従来のやり方で売上アップを図るには限界があります。だから、経営の多層化や多角化に乗り出すことが大変有効。さらにそれら複数の事業を、ひとつのブランドで紐づけするのです。

サンプロ LOCAS専用ページも開設LOCAS専用ページも開設

高額でも選んでもらえる

――御社は以前「設計士と作る自然派デザイン住宅」というブランドを立ち上げましたね。

 こだわりの家を作るというキャッチフレーズで、設計事務所の立場から新築事業を行いました。それが広く認知され、その相乗効果でリフォーム業でも中型、大型規模の工事依頼を受けるようになったのです。同時に社格も上がりました。他の大手ハウスメーカーより高額にもかかわらず、弊社の商品が良いからと選んでいただけるようにまでなりました。収益が上がる上に、認知されているので販促費も抑えられます。

高価格と低コストを

――業界の課題と、今後に向けての考えをお聞かせください。

 建築やリフォーム業界は、まだまだ生産性や収益性のアップが課題です。そのためには価値を上げてコストを下げる、2つの対策を講じる必要があります。その対策として、会社のブランディング化は有効と考えます。