地域密着の超効率経営で営業マン3人でも売上4億円
リフォーム産業新聞(2018/04/17発行)24面より
車30分圏内に絞った超効率経営
わずか3人の営業マンで4億2000万円を売り上げる会社が岡山県にある。「イマガワリフォーム」の屋号で運営する笠岡市のi creationだ。同社は、商圏を車の移動時間30分以内に絞った営業、スピード見積もりなど、効率を追求した経営を行っている。
同社の見積書の一部。見積もりソフトの中に、商品や工事の単価がすべて入力されており、選択し戸数を入力するだけで簡単に見積書が作れるようにしている
ターゲットは1万8000世帯
同社は営業マン3人体制で営業している。年間600件の工事で、平均単価は73万円。しかも、現場調査、見積もり、クロージング、施工管理まで、一貫して担当する。そのため、業務効率化の追求は必要不可欠な取り組みになる。
その中でも最も重要な取り組みが、移動時間の削減だ。同社は営業エリアを、車での移動時間は最大で30分以内に設定。笠岡市1万8800世帯に絞った営業を行っている。住宅の多くは同社の東側15分程度の距離に収まっていることから、顧客から顧客の家に移動する移動時間もほとんどが15分以内に収まっているという。
「営業にとって、移動時間が一番のムダ。この削減に取り組まなければ絶対に生産性は上がらないんです」と今川貴晶社長は話す。
狭い商圏を深掘り
商圏を狭めることによって、エリアの認知度を高める効果も生まれている。一般的に、エリアを狭めることはリスクになりうるが、同社は、逆にエリアの深掘りによって売り上げを伸ばしている。深掘りの方法として行っているのが、週1回のチラシ配布だ。
同社は、機器交換を訴求するメニュー型、外装工事、大型リフォームなど8種類のチラシを作成し、週1回エリアで新聞折り込みでチラシを配布している。
「複数のチラシで、どんなことでも相談できる印象を持たせることが重要なんです。また、配布頻度は、商圏を絞っているからこそ、ここまで細かくできるんです」(今川社長)
現在、売上高の50%がOBからのリピート受注によるものだが、25%がOBからの紹介、25%が新規によるもので、紹介と新規の問い合わせが順調に拡大している。
同社が配布するチラシの一例。全部で8種類あり、訴求したい内容によって配布するチラシを使い分けている。消費者には週1回チラシが届く
見積もり提出は3日以内
営業マンの効率化は移動時間以外でも行っている。例えば、見積もりがある。同社では現調後の見積もり提出を3日以内にルール化しており、スピード提出を行っている。
そのため、見積もり自体も仕組み化している。例えば、同社で取り扱っている全住設機器、建材の単価、工事場所ごとの施工費、解体費などを全て1つのシステムの中でまとめている。営業マンは現調、ヒアリングした情報をもとに、使用する住設機器や工事内容を選択。たった数分で、見積書を作ることができるのだ。
また、デザインを伴うような提案は極力行わず、機器交換主体の工事を行っていることだ。そのため、デザイン主体にかける時間を省いている。
「営業マンのスピードが劇的に改善しました。データ化した各数値は、工事内容や建材の仕入れ額などを、過去の資料をもとに総チェックして算出しました」(今川社長)
さらに、現場管理についても仕組み化して効率化している。各現場には中心的な役割を担う職人にある程度の裁量を持たせ、施工の細かな部分についての判断を任せている。
しかし、それだと監理が行き届かないので、スマホのコミュニケーションアプリを導入して、1現場単位で営業マンと中心的な職人をつなぎ、職人から現場で行った判断や作業の終了時間などを逐次報告させるようにしている。営業マンは現場に行くべきタイミングが分かるので、それに合わせて向かえばよく、常に現場にいなくても良いようになっている。
さらに、超効率経営を実現する方法がある。なんと成約率が9割にも達している。地域密着とスピード提案が人気の理由だ。
「超効率経営により、営業マンは定時で帰れることがほとんどです。残業があっても1時間くらい」(今川社長)
同社は今期売上高4億5000万円を見込んでいる。今後は1万8800世帯のなかで、さらに顧客の深掘りを狙っていく。