アールシーコア、ログハウスの販売数が年1000棟超

リフォーム産業新聞 2018/07/03号より

展示場に5万人「梺ぐらし」を体感

新築戸建て住宅の着工棟数が減少傾向にある中、右肩上がりの成長を続けているのが、アールシーコア(東京都渋谷区)だ。2017年1月~12月には、前年同期比109%となる1050棟の新築住宅を受注し、過去最高の実績を更新した。「BESS」ブランドで、ログハウステイストの企画住宅を武器に好調を維持している同社の吉田忠利BESS事業本部BI本部長付参事に事業戦略を聞いた。

アールシーコア 「BESS」のガイドブック掲載の「LOGWAY」紹介ページ「BESS」のガイドブック掲載の「LOGWAY」紹介ページ

自然と感性を重視した家

同社の家づくりにおけるスローガンは、「『住む』より『楽しむ』を」だ。これを実現するため、プランニングの際は機能優先の人工物よりも自然の素材を生かすこと、そして、合理性よりもユーザーの感性を優先。その結果たどり着いたのが、ログハウスなどの、自然素材をふんだんに使いつつも、高度な人工物の使用を控えた家。平均単価は2200万円ほど。

そして、4つのラインアップを中心に据えて、細かいユーザーのニーズをカバー。1つは、外観や内装のテイスト、オプション機能を選んでつくり上げる「WONDERDEVICE」。2つ目は、広いベランダ空間「NIDO」と三角屋根が特徴の「G-LOG」。

3つ目は、無垢材を組み上げたログ壁と長折れ屋根の下の広いデッキスペースが特徴の「COUNTRY LOG」。4つ目は、西洋のログハウスに和のテイストを取り入れた「程々の家」だ。それぞれに、「Χ(カイ)」、「なつ」、「不常識人」、「倭様(ヤマトヨウ)」という愛称を付けることで、個性を引き立たせるとともに、ユーザーが愛着を持ちやすいように工夫している。

全てはファンづくりから

では、これらの個性的な家の魅力をどうやってユーザーに伝えているのだろうか。「建物だけでなく、暮らし方を魅せることで、お客様の感性に訴え、『BESS』ファンをつくっていくことが一番のマーケティング」と吉田参事は話す。

このこだわりがもっともよく表れているのが、年間5万人ものユーザーが来場する住宅展示場だ。同社の展示場は全国で44カ所。その全てが、複数の会社が集まった展示場ではなく、単独の展示場だ。これは、「狭い空間にモデルハウスを1棟建てただけでは、『BESS』の世界観がお客様に伝わらないから」(吉田参事)だという。

このため、同社の展示場では、少なくともモデルハウス2棟と、打ち合わせやイベントを行うセンターハウスが1セットとなっている。そして、ウッドデッキをはじめとする屋外空間とのつながりや、薪ストーブなどのこだわりの設備・インテリアを通じて、『BESS』が提案する「梺(ふもと)ぐらし」を体感できるようになっている。「梺ぐらし」とは、場所を問わず、自然に近い形で「ココロのぜいたく」を求める暮らしのこと。

展示場を交流の場に

現在、展示場を単なる「体感型モデルハウス」ではなく、ユーザー同士が交流しながら、「楽しい暮らし」へと進むためのヒントが得られる場「LOGWAY」として整備する計画が進められている。今年度中には、すべての展示場を「LOGWAY」へとリニューアルしていく予定だ。

この「LOGWAY」が従来の展示場と異なるのは、「LOGWAYコーチャー」と呼ばれる同社のOBユーザーが中心となって、「梺ぐらし」の一端を部活動のような感覚で体験できるイベントを開催する点。「DIY部」、「メンテ部」、「クラフト部」、「外ごはん部」、「薪ストー部」「庭作り部」の6つをベースに、各「LOGWAY」に所属する「コーチャー」によるオリジナル部活を加えて活動していく。1万数千件のOBユーザーに「コーチャー」の募集をかけたところ、1週間で200を超える応募があった。最終的には、600~700人ほどの「コーチャー」を確保したい考えだ。

「スタッフではなく、『梺ぐらし』を実践しているOB様の言葉だからこそ、リアリティがあり、新規のお客様にも魅力が伝わりやすいはず」(吉田参事)

4月には、2億7530万円もの費用を投じた、1つ目の「LOGWAY」が東京の郊外、昭島市に完成した。

広さ約900坪の敷地内には、「WONDERDEVICE」、「GLOG」、「カントリーログハウス」、「WONDER VOID」の4つのログハウスと、「INAGO-R」、「INAGO-A」という2つの小屋がゆるやかに配置されている。また、「コーチャー」による部活動の告知のための掲示板が設置され、各部活のためのスペースや道具も用意されている。

「『LOGWAY』は、新たなステージへと進むための、創業以来の『第二のビッグバン』。これによって、感性マーケティングをさらに深化させること、そして、FCパートナーを増やすことで、『梺ぐらし』のファンを増殖させ、2020年売上高200億円突破を目指します」(吉田参事)

アールシーコア 昭島市に完成した「BESS」の新しい展示場「LOGWAY」昭島市に完成した「BESS」の新しい展示場「LOGWAY」


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900坪のログハウス展示場で集客