コンピュータシステム研究所、自分の手も人も見えるVRシステム
対面営業に特化したつくり
2016年は「VR(ヴァーチャルリアリティ)元年」と呼ばれ、最近はVR技術を活用した営業提案が急速に普及してきている。
多くの会社がヘッドマウントディスプレイを用いたタイプのVRシステムを導入する中、コンピュータシステム研究所(東京都新宿区)では、投影型のVRシステム「ALTA for VR」を提供している。同社の建築営業企画部の上野健部門長に話を聞いた。
実寸が体感できるVR
「ALTA for VR」は、縦・横・高さがそれぞれ3mのブースに3Dプロジェクターで映像を投影するというもの。3D眼鏡を着用することで、実物大の空間として映像を見ることができる。
投影された映像を見るので、ヘッドマウントディスプレイを利用するタイプと異なり、自分の手や他の人をVR映像上で見ることができる。このため、キッチンカウンターや棚、柵の高さなど、建物のつくりをリアルに確認することが可能。もちろん、家族やスタッフと同時に閲覧することもできるので、スタッフは解説しやすく、ユーザーは内容を理解しやすい。
変更を瞬時に反映
また、同社が提供しているCADソフト「ALTA」で作成したデータをそのまま使える点もポイントだ。多くのVRシステムでは、CADデータを専用のフォーマットに変換する必要がある。そのため、変更内容をVR映像に反映するには時間がかかる。
一方、「ALTA for VR」では、元のCADデータを変更すれば、リアルタイムで変更内容をVR映像に反映することが可能だ。このため、ユーザーの要望に応じてプランを変更しては、VR映像で確認していく、といったプランニングを行うことができる。
「『ALTA』自体が対面プレゼンに特化したCADソフトとして設計されています。そのデータをそのままVR映像として表示するだけなので、プレゼンのしやすさは引き継がれています」(上野部門長)
工務店支援に活用
「ALTA for VR」の初期費用は約2000万円。現在、約20社が導入済み。その1社である建材流通商社のミヨシ産業(鳥取県米子市)では、取引先の工務店を支援するために導入した。30社以上が利用登録しており、毎週末利用されているという。
「建物のサイズ感が分かりやすい点やご夫婦、ご家族全員でスタッフの解説を聞ける点が好評です。営業提案だけでなく、着工前の最終確認に利用されている方も多いです」(ミヨシ産業・営業企画室・引野真室長)
簡易版も発売
今年7月には、ヘッドマウントディスプレイを利用する「ALTA VR-mini」も発売。こちらの初期費用は、「ALTA」の150万円とVRシステムの120万円の計270万円。
「VRの良さはクレームが減ること。そして、プランニング力がある会社をユーザーが選びやすくなることです。これからも、より便利なシステムを提供することで、業界の発展にも貢献していきたい」(上野部門長)
リフォーム産業新聞(2017/11/21発行)7面より